オリジナルの曲を作るにあたって、人の曲をコピーして研究するということは一見遠回りのようですが
ものすごく重要なことです。
…とこんなことはもう耳にタコができるほど聞きましたよね。
というわけで今回は、耳コピについてもう少し深く、
学習効率アップのための極意3つをお伝えします。
その1、予め目的を明確にしておく
耳コピをする前にまず考えなければならないことは、
「どこで作業を終了とするか?」です。特にDAWで耳コピを行う場合、
細かい演奏のニュアンスからミックスに至るまで、似せようと思えば
どこまでも無限に作り込めてしまいますが、決して同じものはできませんし、
目的なく行う耳コピは、全く意味がありません。
まず、何のために曲をコピーするのか考え、どこで終わりにするか決めておきましょう。
例えば、あなたが作曲ビギナーの場合は、
「耳コピの範囲は楽曲として成立する最低限の要素である4リズム(メロディ、ベース、コード、リズムパターン)を1コーラスだけと決める」
といった具合です。
まだ曲の仕組みについて知らないことが多いうちは、
作業後、キーを割り出す、メロディを最小単位のモチーフに区切ってみるなど、
楽曲の基本的な構造を理解することに時間を使うのが良いでしょう。
ちなみに最近、僕が耳コピをした時の目的は以下のようなものです。
・新しく出会ったジャンルのプロジェクトテンプレートを作るため
(同ジャンルの曲を数曲聴いて、そのジャンルにとって重要と思われるトラックをコピー)
・グルーヴ感を研究するため
(リズムを構成する音に絞って、ティック単位まで追い込むコピーをする)
その2、うまく聴き取れない部分はサクッと諦める
数多の曲の中から、耳コピの対象として選んだくらいですから
あなたはその曲に何かしらの魅力を感じているはず。
その中のよく聴き取れない部分が、
耳コピで学ぶべき魅力になっているという可能性は低いですよね。
また作り手の心情に立ってみれば当然ですが、
曲のセールスポイントになっている部分は
きちんと聴き分けられるようにして完成まで持っていくものです。
あなたがある程度耳コピの数をこなしているにもかかわらず、
どうしても聴き取れない部分が出てきた時は
潔くスルーして全く問題ありません。
そして「どうしても聴き取れない」壁にぶつかった時、
取るべきもう一つの選択肢として、該当の箇所を自分なりにアレンジしてしまうのも良い手です。
「自分だったらどうするか」を考えることが成長に最も重要です。
その3、時短アイテムはガンガン使う
耳コピはとにかく数をこなして、音と仲良くなることがとっっっっても大事なので、
時間の節約は最大限行いましょう!
ここにいくつか有用なものを挙げておきます。
・モニタリング用プラグイン (ISOL8、ADPTR MetricABなど)
DAWに耳コピしたい曲を読み込んだ場合使える手段ですが、
再生する周波数帯を絞ったり、
L(左スピーカー)、R(右スピーカー)、
M(ミッド、曲中センターに定位している成分)、S(サイド、左右に広がっている成分)
のどれか一つをリスニングするといったモニター管理が
ワンタッチで行えるプラグインです。
これらを利用することで、コピーしたいトラックに
注視しやすくなります。
・トラック分離ツール (iZotope RX7、PhonicMindなど)
科学の進歩は素晴らしいもので、
ミックス済みの音源でも、AIの判断でトラックを
メロディ、ドラム、ベース、その他の楽器、の4トラック程度に分離してくれるツールがいくつか存在します。
マスタリング済の音源をリバランスできることが大きなセールスポイントですが、
リミックスやオフボーカルの作成にも利用されています(個人の範囲で使用しましょう。)
そしてこれらは耳コピにも最適なツールなのです。
メロディ、ドラム、ベース、その他が切り離されることで、それぞれが劇的に聴き取りやすくなります。
このようなツールを紹介していると、
音感のトレーニングでもあるべき耳コピに
そんなもん使っていいのか?という声が聞こえてきそうですが良いのです。
音感が鍛えられる時というのは、
耳コピの作業中、「これはドかな?レかな?」と探っている時ではありません。
耳コピが終わった後、正確には、誰がどの音を演奏しているか把握した後に改めて、
理解とセットで曲を聴く時、正しく音感は鍛えられるのです。
ですので可能な限りトラックは切り離して、聴き取りやすい状態で耳コピは済ませてしまい
節約できた時間で研究したり、また別の曲に取り掛かる方が、結果的には成長速度が速くなります。
おわりに
今回は耳コピの効率をよりよくする3つのポイントをお伝えしてきました。
これから取り組むという方も、今まで漠然と耳コピをしていたという方も
お役に立てれば幸いです。
ではまた!
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