映画「The LEGO Movie」を観ると、創作活動の悩みがいくつか消えるかもしれない。

映像作品と録音作品は共通点が多いです。

例えば

・時間とともに進行する
・文章や漫画と違い、鑑賞者の操作を挟む余地がない。全てのタイミングを作り手が決める
・何回鑑賞しても同じ結果になる

などの点です。

作曲を志すならば是非とも映画は色々と観ておくべきなのですが、

中でもこの「The LEGO Movie」は特筆すべき作品で

日々創作活動をする上で避けられない

「型にハマっちゃダメ!と言われたかと思ったら次の作品では個性的すぎて受け入れられない!と言われ、どうしたらいいかわからない…。」

「自分には創造的な能力が欠けていると分かってしまった…でも作品は作りたい…。」

「何をどう作っても誰かの作品と似てしまう…。」


といった数々の悩みに答えをくれる作品になっています。

もちろん映画としての完成度も素晴らしいので、今回はこの映画をご紹介します。

スーパーヒーロー物語なので結末はある程度想像がつく作品ですが、以下解説には軽微なネタバレを含みます。

The LEGO® Movie – Official Main Trailer [HD]

映画基本情報

2014年公開
監督 : フィル・ロード&クリストファー・ミラー
出演 : クリス・プラット、ウィル・フェレル、エリザベス・バンクス、モーガン・フリーマン、リーアム・ニーソン他

あらすじ

特徴もなく、ただマニュアル通りの日常を繰り返すことになんの疑問も抱いていない平凡なLEGOフィギュアの作業員エメットは、ひょんなことから世界を救う「選ばれし者」と間違われてしまい、LEGOワールドを思うがままに支配しようと企むおしごと大王の野望を阻止する冒険に出るはめに。ヒーローになる覚悟も自覚もないエメットだったが、世界を救うため個性的な仲間や人気ヒーローたちと悪に立ち向かっていく。

映画.com(https://eiga.com/movie/78099/)より引用

↓プライム・ビデオで観る(字幕版)

↓プライム・ビデオで観る(吹替版)

注目ポイント3つ(軽微なネタバレあり)

・ポイントその1、主人公はマニュアル人間

この映画のメインストーリーはシンプルなヒーロー物語であり、

マニュアル通りにしかレゴを組み立てられない(独創性のない)主人公エメットが、世界を救うために

マスタービルダー(自分の発想でレゴ作品を生み出せるクリエイター)を目指す。

という部分が一つのクエストになっています。

最終的には「マニュアルを完全再現できること」が最大のストロングポイントであると発見し

知識と経験から引用したり、仲間と協力したりといった手段でマスタービルダーになるという

見事なアンサーを見せてくれます。


・ポイントその2、ウィトルウィウスの助言

ヒーロー誕生の予言者であり、マスタービルダーの師として主人公を導く役割を持つキャラクター

ウィトルウィウスが物語中盤、心折れかける主人公に「Believe!(信じろ)」と助言をし、

その言葉から主人公は何かを察してマスタービルダーとして目覚めます。

この「信じろ」という言葉はシンプルかつド平凡なのですが、この映画の中では

いくつか意味が取れる味わい深いセリフになっています。

一つは、自分が「クリエイター」かどうかなんて気の持ちようだ、ということ。

そしてもう一つは

伝統をなぞっただけの作品でも
ハタから見ると意味不明な作品でも
売れる要素だけ集めた作品でも

作り手が「Awesome!(最高だ!)」と信じて、意図した通りにできていればそれでいい。ということです。


・ポイントその3、曲が持つ意味の変化

最後は音楽ブログらしい解説を一つ。

映画の要所要所で「Everything is Awesome!」という挿入歌が使用されています。

Everything Is AWESOME!!! — The LEGO® Movie — Tegan and Sara feat. The Lonely Island
Everything Is AWESOME!!! / Tegan and Sara feat. The Lonely Island

劇中で繰り返し使われる歌詞冒頭を引用しますと

Everything is awesome!(全ては最高!)
Everything is cool when you’re part of a team(何かの一員であれば全てがクール!)


と歌っております。

実はこの曲、劇中冒頭では悪役が市民を洗脳するため使っていて

2行目の歌詞は「社会の歯車でいろ」というメッセージに聴こえるのですが、
(日本語字幕および吹替版では2行目が「みんなのマネして生きよう」と意訳されています。)

エンドクレジット時に同じ曲がかかる時には

「誰かの作品から影響を受けたり、マニュアルを作ったりそれを再現したり、
自由にものを作って見せ合って、あーでもないこーでもないと言い合ったり、そんな世界の一員でいるって最高!」

と意味合いが変わって聴こえる仕掛けになっています。

表現というものは、受け手の状況や直前の記憶、もっと大きなくくりで言えば時代や国によって

メッセージの受け取り方が違ってしまうものです。

この映画はそれをうまく利用した好例ですが、

もしあなたが、

「自分の作品に込めたメッセージが相手にうまく伝わらない」

と感じているならば、まずはターゲットとする相手の立場から考えてみると良いでしょう。

おわりに

「The LEGO Movie」は上記で紹介した創造性とはなんぞや?みたいなこと以外にも

映像作品としての価値、レゴブロックへの愛、畳み掛けるようなギャグの嵐などなど

見所がたくさんございまして、

筆者も音楽家として実際にこの映画から影響を受けており、とても大切な映画だと感じています。

本当はもっと書きたいことが沢山あるのですが、

どうしても重大なネタバレを避けて通れなくなってしまうので今回は割愛いたしました。

ぜひあなたの目で体感して頂ければと思います。

ではまた!

↓ブルーレイ版

アイキャッチ画像出典 : Amazon

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