楽曲の骨格「ベーシック」とは?その重要性と制作方法

DAWを使用すれば、納得するまで存分に楽曲を作りこむことができる反面、慣れないうちは同じ曲を何日、何週間、下手をすると何ヶ月も触ってしまう…。という事態に陥ることもあります。
明確なゴールの決め方については以前お伝えした通りです。

今回はそのゴールまでの道のりを圧倒的に快適にする作業のスタートラインについてお伝えします。
複数人での制作(コライト)や一部作業を他人に依頼する場合にも有効な内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください!

ベーシックとは何か

楽曲の最も重要なメッセージ部分だけでできた音源形態のことで、アレンジ以降の作業の土台になります。
伝統的には、「メロディ」、「コード楽器(ピアノ、ギター、バンジョー)」、「ベース」、「ドラム」の4リズム形式が一般的なベーシック音源の編成なのですが、現代では取り組む楽曲よってベーシック足り得る編成は異なります。
楽曲構造を大事にする職業作家であれば当然4リズム形式で制作しますが、メロと歌詞を重要視するシンガーソングライターであれば、歌+アコギ一本でもベーシックと言えます。
ギターリフが顔になる楽曲の場合にはフレーズを考案して録音しておく必要がありますし、ビートメイクを己の本分としている方は、サウンド面まで含めたビートを作り込んでようやくベーシックの完成になります。

明確な軸がない状態で作曲、アレンジ、ミックスを同時進行してしまうと確実に路頭に迷います。
逆にベーシックさえしっかりできてしまえば、あとは勝手に完成すると言っても過言ではありません。

ベーシックを作るメリット

・価値のある楽曲になる
最初にベーシックの制作に注力しておくことで、他人の的外れな意見に左右されたり、自分自身で作品制作の意義に疑問を感じたりすることがなくなります。
主張したいことをしっかり考え形にしたものは、誰が何と言おうと価値のある作品になります。

・優先順位が明確になる
作品のメッセージを核に以降の作業を行えるので、アレンジやレコーディング中にリズム、ハーモニーなど何らかの要素がバッティングを起こしても、意思決定が楽になります。
ストリングスラインのために、作品の核たるメロディを変えてしまうなんていう遠回りも発生しなくなります。(自戒)

・アレンジやミックスがブレなくなる
アレンジやミックスにおいても作品のメッセージが最も良く聴こえる状態にすればいいだけなので、思考をシンプルにできます。

・複数人での作業がスムーズになる
大事な部分だけに焦点を絞った音源を渡すことで、ワークフローが自動的に整理される上、余計な情報に惑わされずチームメイトそれぞれの得意分野を存分に発揮でき、良い化学反応を起こしやすくなります。

重要なポイント3つ

・作品のメッセージ、核になる部分はしっかり作り込んでおく
必要十分な情報を吟味し、ベーシックのみで作品として成立するよう制作しましょう。

・部分的に作業を依頼する場合、人に任せる部分は音源内に入れない
例えばリズム隊を誰かに作ってもらう場合、デモにはドラムループが仮音として入っていたりすると思いますが、いざ人に依頼するタイミングになったらそれらは全てミュートし、「変えて欲しくない部分」だけを音源化しましょう。
どのトラックのどの部分が仮なのか?といった意思疎通にはなかなか時間と手間がかかります。
人に任せる=自力では叶わない理想があるということでしょうから、イメージに近い既存曲を参考として提示してしまうのがベターです。

・アレンジに進んだら、ベーシックに戻って修正はしない
一度後戻りを始めてしまうと際限がありませんし、複数人での作業であった場合は自他共に多大な混乱を招きます。
極論になりますがベーシック制作時は「以降の作業は飾り」くらいの心構えで臨みましょう。

おわりに

作曲初心者の方は、まずはベーシックの完成を目標にするとよいでしょう。
完成へのハードルを下げつつも、胸を張ってご自身の作品と言える楽曲を作ることができます。
そして最後になりましたが、他人の曲を聴く、あるいは耳コピをする際にも、ぜひともこのベーシックの状態を想像してみてください。理論的な細かい分析は後回しで構いません。それよりも作曲者それぞれが、何を大事に思って制作をしているかを読み解いていくと、今後の音楽生活が圧倒的に豊かになりますよ!

ではまた!

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