「知識ゼロだけど作曲を始めたい!」という、まっさらな状態の初心者の方
「作曲にチャレンジしてみたけど思う通り行かず詰んでいる」または
「作曲法や理論の勉強に手を付けたにもかかわらず、曲ができなかった!」とお悩みの方に
まず最初に読んで頂きたい一冊をご紹介します。
他の本はさておき、この本を読んでください。お願いします。
もう頭を下げます。何卒よろしくお願いします。
「作曲少女」概要
著 : 仰木日向
イラスト : まつだひかり
以下あらすじ
「何かやってみたい!」
ヤマハミュージックメディア書籍紹介ページより引用
そんな気軽な動機から作曲をしてみることにした女子高生、”いろは”。
しかし音楽知識はゼロ。何から始めていいのかわからずいきなり挫折しかけた彼女は、クラスメイトの——そして現役の女子高生作曲家でもある”珠美”に作曲を習うことになる。
「14日間で作曲はマスターできる」という珠美のもと、いろはは人生初の挑戦を始めるのだが……。
本書は、物語を読むうちに音楽の仕組みが理解できて曲作りの方法まで身につくライトノベル作曲理論です。
曲を作るために、音楽的な知識は一切不要。必要なのは、正しい発想とちょっとしたコツ、そして何より第一歩を踏み出すこと。この本には、そのための考え方やヒントがたくさんつまっています。
さらに、現在作曲に挑戦している人にとっては、普段感じている曲作りの疑問が確信に変わるはずです。
教則本であらすじってなんじゃい!とお思いかもしれませんが、
本書は上記の物語を会話劇で構成した、ライトノベル作品です。
私は作曲の入門書がライトノベルであることに、強く必然性を感じています。
そのことについては最後に解説するとして、まずはざっくり
注目ポイントを2つご紹介します。
・「耳コピ」と「テクスチャー」
物語の最初の山場として、まずはやはり「耳コピにチャレンジ」
というくだりが出てきます。
わたしも当ブログで「模倣の重要さ」はたびたび語っております。
その大きな理由としては音楽の基本構造が把握できること。
世の中のポップスは、基本的な要素7割とオリジナル要素3割くらいのバランスでできているため
まずは基本的なパターンを把握しましょう。ということですね。
「作曲少女」ではさらに+αで物語終盤、
耳コピした曲のベースラインを切り取り、オリジナル曲に流用する
「テクスチャー」というテクニックが登場します。
わたしのひとこと説明だけだと
「初心者は楽をしろ」的なことを書いているようですが、実は、
音楽理論についての解説はごくごく最低限にもかかわらず
メロディに対してベストなコード進行が付けられる!というダイナミックなレッスンになっています。
本書の中でわたしが特に目を見張って読んだポイントです。
作曲への知識の浅く、かつ楽器演奏の経験がない方にとっては
「それってパクリなんじゃないの?」と疑問にも思うこのテクニック
ご一読の上、ぜひともお試し頂きたい!
・音楽理論との向き合い方
作曲をひとつの遊び、ゲームだとするなら
目一杯に楽しむためにはまず最低限のルールは把握しなければなりません。
そうして何回か勝利と敗北を重ねて、ゲームの進行に慣れてきたら
コンボや裏技を知っていく、というのが王道の流れではないでしょうか。
「作曲少女」は、音楽理論については
「作曲を継続して楽しむなら理論は必要。しかし学ぶのは作曲ができるようになってから。」
というスタンスで書かれています。わたしもこの考えには全くもって同感です。
文章中、理論的な解説は現代ポップスの要、つまりゲームのルールに該当する、
「キー」についての解説しかありません。
それだけにしっかり理解しておきたいところですがご安心ください。
「キー」についての話は序盤から伏線的にちょっとずつ登場し、
物語的にもレッスン的にもひと山超えたところで、満を持して解説してくれます。
物語形式でないと伝えられないこと
まっさらな状態の初心者は、まずはプロの…特に、
好きなアーティストの成功哲学から作曲のヒントを得ようと行動しがちです。
しかし、作曲の入門において最も必要な知識は「失敗談」なんですよね。
作曲を志す道程ではどんな壁が現れるのか、そしてそれをどう乗り越えるかを知るべきなのです。
作曲を書籍や動画で独学する難しさの理由の一つはここにあると思います。
「作曲少女」の主人公はそれはもう丁寧に、ひとつずつ悩んだり失敗した上で、乗り越えてくれます。
感情の変化や時間経過を伴いながら、です。
普通の教本って、例えるなら3分クッキングでしょうか。
ひとつテーマに対して「では完成品がコチラです。」という。
(それらは「作曲ができるようになった後」に読む本なので、結論が遅いと逆に困りますが!)
作曲はとても楽しいものですが、時間(命)を大きく削る行為なので、
最初の一曲ができるまでは、進む時計を見ながら
「才能がないとムリなのかも」「知識が足りないのかな?」「このまま完成できないんじゃないか」
といったような様々な感情と戦うことになります。
それを乗り越える道のりを示すには、同じ葛藤を共有するキャラクター、物語が必要不可欠であると、
わたしは思った次第です。
今まででいちばん合理的な作曲入門書
「作曲少女」おすすめです!
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